金利について
本記事の冒頭で述べた金利(29.2%及び29.28%)について説明する。これは、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律の上限金利であり、これを超えた貸付けを行うと刑事罰の対象となる、というものである(詳細は「闇金融」の項目を参照のこと)。 例えば、100万円を出資法上限金利である29.2%の利息で借入し一年間全く返済をしなかった場合、約29万円の利息が生じる(出資法において定める延滞利息ないし賠償額の上限は通常利率と同率)。
消費者金融の金利は出資法の上限金利を超えることはないが、一般に利息制限法の基準(10万円未満20% 100万円未満18% それ以上は15%)を超えている。利息制限法は強行法規であり、利息制限法を超える約定利息は民事的には無効である。従って本来は利息制限法を越える部分の金利は払う必要はなく(利息制限法の上限利率を超過する利息契約は無効)、もし支払ったのであればそれは元金の返済に充当され、過払いが生じていれば弁護士・認定司法書士等(または本人)による交渉、訴訟によって返還させることができる(不当利得の返還、ただし完済後、10年以上経過している場合は時効を主張される可能性が高い、ちなみに貸金業者に対する債務の時効は5年、債権の時効は10年)。
ただし、法定の契約書類・受取証書が整備され、契約者が納得の上で自主的に払っている「任意の弁済」である場合は金利の支払として有効となり、消費者は返還を求めることができない。これをみなし弁済(貸金業法43条)という。
しかし実際には、判例により上記要件の一つとしての受領書(18条書面)の発行が銀行振込での返済時にも要求されるなど、貸金業法43条はみなし弁済が認められることはほとんどないと言ってよいほど厳格に解されており、弁護士・認定司法書士等が任意整理( 弁護士・認定司法書士等が受任し、利息制限法の金利で計算し直した残債務を一括・分割返済(3−5年)する債務整理方法、将来利息は原則として付かない )等をする際には、これをきちんと利息制限法の金利で計算し直して残債務を減額させ、過払いがあれば返させる(利息の引き直しという)。仮に約定利息29.2%で、約定利息分のみを返済し続けた場合、新たな貸付が無いなら6年未満で債務は0となる。実際には、約定利息分を超える返済と新たな貸付が混在していることが通常であり、正確な取引履歴に基づいた正確な引き直し計算が必要である。貸金業者が取引履歴の開示を渋る場合もあり、過払い金を回収するための訴訟が必要となることもある(取引履歴は弁護士・認定司法書士等が代理人となって貸金業者に開示を求めることが多い。開示を求めることは本人でも可能であり、信用情報機関に登録されることは無いが、業者にマークされる可能性はある)。
過払い金=不当利得は「法律上の原因なく」受けた利益である。不当利得であると知りながら利益を得ていた貸金業者は「悪意の受益者」であり、受けた利益に法定利息(年利率5-6%)をつけて返還する必要がある。しかし、貸金業者は、過払い金があるということを知りながら、これを自発的にに返そうとはしない。そのうえ、みなし弁済の要件を満たさないがゆえに不当利得になることを知りながら金を受け取り、取立てを続けている。
この問題について、貸金業者側からは「みなし弁済の要件が厳しすぎる」との意見があるが、他方、識者からは「みなし弁済は、利息制限法に違反する無効な弁済を「例外的に有効な弁済とみなす」として特典を与えるものであるから、厳しい基準をクリアしなければならないのは当然」「刑事罰の不存在に乗じて、貸金業者が利息制限法を守らない貸付けをするのが悪い」という指摘も多い。29.2%という出資法上限金利(かつ、みなし弁済が認められれば収受可能な金利)は、英米を除く先進諸外国に比べて高すぎる、との指摘もある。また、利息制限法の上限金利を超えるが、出資法の上限金利を超えない金利をグレーゾーン金利という。
最高裁第二小法廷判決 平成16年(受)第1518号 貸金請求事件(2006年01月13日) において、利息制限法以上の金利の支払いについて、「期限の利益喪失条項」などで事実上の強制がなされた場合、みなし弁済の要件を満たしていないとされた(シティズ判決)。続いて1月19日に最高裁第一小法廷、1月24日に最高裁第三小法廷において同様の判決があり、3つの小法廷で判断が一致した。これを受けて、金融庁は、貸金業規制法の施行規則を改正し、契約書・領収書に「期限の利益喪失条項」は利息制限法の利率を超えない範囲においてのみ効力を有すると記されることになった。この改正が、みなし弁済をめぐる法廷での争いに影響を及ぼす可能性が指摘されている。
クレジットカードや信販会社のローンカードによるキャッシングサービスも、上記と同じ状況であるが、このうち信販会社などのショッピングクレジット(個品割賦)の長期回数支払で利息制限法を超える手数料率(金利)であっても、貸金業法・利息制限法などの規制は一切受けない為(割賦販売法が適用される為)注意したい。クレジットカードの場合、債務整理の際にキャッシングについて過払いがあれば、ショッピングクレジットの債務と相殺される。
